著者:石田 麻琴

大切なスピードは「作業スピード」よりも「着手スピード」【no.1512】

 今日は仕事を進めることにおいてもっとも大切な「スピード」について考えていきたいと思う。「スピード」と聞いて、どんなことが最初に思い浮かぶだろうか。

*「作業が早い」という意味のスピード

 思い浮かぶ一つは、作業のスピードではないだろうか。物理的なスピードと言っても良いと思う。

 たとえばパソコンのデータ入力。ブラインドタッチができればデータ入力の仕事を早く進めることができる。関数を知っていれば、エクセルのデータ計算も早い。ちまちまデータを探したり、確認したりする手間が省ける。コラムも1時間で1本を書き上げるのと、30分で1本を書き上げるのでは倍の時間が違う。

 ネットショップの運営業務でも作業スピードが求められる。写真撮影のスピード。撮影のアイデアを事前に練っておくことも作用スピードにつながるし、バシッとした構図や画像が撮れるまでの時間が短ければ時間を大幅に短縮することができる。画像の加工もしかり。Photoshopの知識やスキル、慣れによってスピード感を持って仕事にのぞむことができる。

*大切な仕事への「着手」のスピード

 もうひとつ、大切なスピードがある。もしかしたら「作業」のスピードよりも、こちらの方が仕事を進めるためには重要なのかもしれない。仕事への「着手」のスピードだ。

 たとえば、プレゼンテーションの資料づくりを依頼されたとする。パワーポイントの知識は持っているし、スキルもある。何度も資料は作っているから、慣れている。資料づくりを始めてしまえばスピード感をもって進めることができるのだが、進めるまでに時間がかかる。つまり「着手」までに時間がかかる。これは勿体ない。

 「着手」のスピードが大切な理由は、その先に取引先や同僚や上司、つまり他人をみることが必要になるから、に他ならない。自分の中だけで完結する仕事ならば、「着手」のスピードは必要ないわけだ。仕事は他人を巻き込んでおこなうもの。だからこそ「着手」のスピードが必要になる。

*第一報は早めに共有するスピード感が大切

 前述した資料づくりでもそう、メールでの問い合わせもそうだし、在庫の確認や納期の確認を依頼された場合もそう。「着手」のスピードを重要視して、第一報を早めに出すことが大切だ。なぜなら、相手にとって依頼したとき、質問したとき、問い合わせをしたときこそ「知りたいとき」だからだ。

 第一報は何でもよい。「●●日までに仕上げることができそうです」でも良いし、「これから確認します」でも良い。「了解しました」だけでも良いと思う。第一報のリアクションがあるだけで、相手に安心してもらうことができる。状況と進捗はさておき「動き出してくれているのだな」と。

 もし仮に、自分自身は動いていたとしても、相手にその一報を伝えなければ「動いてくれているのか」どころか「メールは読んでくれたのか」「もしかしたら長期の休みに入っているのではないのか」などと不安を抱えさせてしまう。第一報はできるだけ早めに、が大切だ。

*明日からできる「着手」スピードの原則

 ひとつ明日から簡単にできることがある。取引先や同僚や上司など、他人からいただいたメールでこちらからの反応が必要なものについては、すぐ返信することを原則とするのだ。「わかりました」でも「確認します」でも「検討します」でも良い。忙しければひと言でもいい。最後に「取り急ぎ」を加えれば、形式ばってなくてもまず許してもらえる。

 腹の底から覚えておかなければいけないことは「連絡をくれたときが、相手が知りたがっているとき」だということ。自分のペースが乱されることになってしまうのはとても面倒なことである。だけれども、仕事というのは自分のペースでやるものではなく、市場のペースでやるものなのだ。