著者:石田 麻琴

採用担当として社長に教えてもらった3つのこと【no.1515】

 前職のとき、入社して3か月後に突然採用担当を任せられた。

 入社といっても初めての仕事である。25歳になる年までフリーターをしていたので、仕事をすること自体が初めて。しかも採用担当である。もちろん採用担当という仕事が会社においてどれくらい重要なものなのかも当時はわかっていなかった。

 そのときに社長から教えられたことがいくつかある。今日はその話を書きたい。

*私服で面接にきてもらう理由

 Eコマース事業をメインにしているベンチャー企業だけあって、面接での服装について応募者には特に指定をしていなかった。スーツで来るのも良し、私服で来るのも良し。ただ面接が数回おこなわれる中で、最低でも1回は私服をお願いすることがあった。

 なぜか。採用を決めるにあたって私服のセンスがみたいからだという。ファッション系のネットショップを運営していたが、私服のセンスをみる理由はそこではない。「私服のセンス=コミュニケーション能力」だと社長はいうのだ。

 私服のセンスが良いである人は周りの人間から「自分がどうみられるか」に気を遣えている人だというのだ。まあ、実はここはセンスが良いわけではなくても「標準」であればいい。面接でみたいのは逆。個性的な私服で面接にくる人は「自分は自分」の気持ちが強い可能性がある。そしてその「自分は自分」が仕事を進めていく上で障害になる可能性があるというのだ。

 「私服のセンス」は「コミュニケーション能力」を表す。ひとつの考え方だと思う。

*面接の回数は決められたステップを踏まなくても良い

 ある日、第一次面接を社長がおこなっていた。面接の途中で「まこっちゃーん」と私の名前が呼ばれる。なんだろうと会議室にいくと「ちょっと会社の仕事の内容について10分くらい話してみてよ」といい、応募者の方と会議室にふたりきりになった。

 10分が経ち応募者の方が帰られると、「いまの人、どうだった?採用だそうと思って」と社長はいった。「えっ、一次面接やったばっかりなのにですか?」と反応すると、「いやいや、それはそうなんだけど」と社長はいう。「いい人は決められたステップを踏まなくても採用する」というのだ。

 なぜならば決められたステップを踏んでいると他社に採られてしまう可能性があるからだ。応募者の方は他の会社の面接も受けている。決められたスケジュールの途中で他の会社に採用を出されるならば、たとえ一次面接だとしても「他の社員の意見も聞いた上で」採用の連絡を入れた方が良いという話なのである。

*自分が面倒をみたいと思う人を採れ

 「自分が面倒をみたいと思う人を採ってね」これは社長に常々いわれていた言葉だ。面接の後に「まこっちゃん、この人と友達になれそう?」こんな言葉もよく社長に聞かれた。応募者の経験やスキル、能力も大切だが、それと同じくらいもしくはそれ以上に「相性」が大事だというのだ。

 当時は2005年から2006年。「ネットショップの運営をやったことがあります」という人が応募してくることはなかなかなかった。ほとんどの応募者の方がネットショップ未経験、インターネットの商売も未経験だった。ベンチャー企業だったから、きちんとした研修プログラムがあるわけでもない。良くいってOJTが基本になる。

 うまくいかないこと、うまく伝わらないことが多い中で、最後の砦になるのは「相性」なのだ。人同士の「相性」が合うからこそ、なんとか頑張って伝えようとする。もちろん「自分が面倒をみたい」と思って採った人だからこそ、「自分でなんとかしなくてはいけない」という責任感もわくわけだ。

 ―――採用担当として社長に教わった3つの話。何かの参考になるだろうか。合っているか間違っているかはわからない。迷ったときの考え方のひとつとして参考にしていただきたい。