ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

中小ECはバックオフィスの管理を見直す時期【no.1671】

 中小ECはバックオフィスの管理を見直す時期。

 オンラインショップの配送料金の値上げの問題について何度か紹介しました。

 送料問題は「本質的」な自助努力でカバーしきれない状況にある。先に書いた配送料金の値上げだけではなく、ショッピングモールのルール変更もある。自社の戦略以外で足を引っ張られてしまっている状態になっている。オンラインショップを運営している事業者の方ならば感じていることだろう。

 インターネットの物販というBtoCビジネスがふるいにかけられている。いよいよそんな時期になってきた。

*バックオフィスの管理方法を見直す時期

 先日「ピンチはチャンス」のコラムでも書いた。おそらくこの数か月でいくらかのオンラインショップが運営をやめる。現実的には運営を「止める」。更新作業に力を注がず、オンラインショップを放置するような状態になる。実質、EC戦線から離脱をすることになる。そしてお客様が動く。市場環境の変化は供給側に変化をもたらすだけではなく、需要の側にも変化をもたらす。オンラインショップが動くタイミングは、同時にお客様が動くタイミングになる。

 配送料金の値上げ、ショッピングモールのルール変更。今回の変化における改善テーマとして「バックオフィスの見直し」を挙げるのはどうか。当然、お客様の数が増えれば絶対的な売上と利益の額は増える。ただ利益率はアップしない。同じ利益率のまま規模が大きくなることは、次の変化へのリスクを抱えることになる。フロントヤードの改善中心の事業者も、ここはバックオフィスに目を向けてみて欲しい。

*お客様を分析する。購入スタイルを分析する

 バックオフィスの管理方法の見直しは、すなわちコスト管理。利益率のアップに繋がる。そのために、分析したいのが顧客データと受注データ(注文データ)ということになる。

 一般的に、アクセスデータや広告データ、注文データはセミナーの題材になりやすい。なぜなら自社サイトASPの提供側やインターネットの広告代理店側、ショッピングモール側がデータとして持っているからだ。逆に顧客データや受注データ、バックオフィスに関連するデータの分析は表に出づらい。それはソリューション会社が所有していない、事業者の「社内にある」データだからだ。

 なので、データ分析というとフロントヤードのデータ分析になりやすい。オンラインショップの事業者の方もここをしっかりやっているという会社が多いと思う。ただ、バックオフィスの分析と施策化は表に出ているノウハウが少ない。手つかずのままのオンラインショップも多いと思う。こちらに手を入れることで直接的に利益率を改善していきたいわけだ。

 まずはお客様、顧客データを分析するところから始めてみよう。

*顧客データを分析する。まずは配送地域別の分析をする

 配送料金の値上げ、という課題から改善策を考える場合。まずは顧客データの配送地域別のデータを分析してみてはどうだろうか。配送料金が値上げされるといっても、実際にどれくらいの金額の負担増になるのか、感覚値ではわかっていても実数まではわからない。配送地域別のデータを分析することで、どのくらい地域が偏っているかがわかる。また配送業者に価格交渉をする材料にもなる。「一律でこれくらいの金額でお願いします」では配送業者も交渉の余地がないわけだ。

 顧客データには都道府県が含まれる。まずは出荷個数ベースでの都道府県別の配送データを集計すること。そこに配送業者が指定する配送地域のデータを絡ませると、どの配送料金にどれくらいの発送をしているかがわかる。この月別、年別のデータ推移を知りたい。これをベースに打ち手を考えていくわけだ。

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カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 3.Eコマースの収益アップ

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。