著者:石田 麻琴

企業の入社試験課題をプロなりに回答してみる。その2【no.1719】

(前回のコラムのつづきです)

 『A社(自社のこと)のEコマースの売上を予測し、2年後に売上を3倍にするためにはどうすればいいかを考えて提案してください』を回答してみる、の2回目。

*実店舗で競合店舗の売上を予測する方法

 Eコマースだけではなく、実店舗運営でも活用される伝統的な売上予測方法がある。ご存知の方も多いと思うが、これをご紹介しよう。

 実店舗の開店時間に合わせて買い物にいく。そしてイの一番でレジに商品をもっていく。購入する商品は何でも良い。きちんとレシートをもらっておくことが大切だ。今度は同日の閉店間際に合わせて買い物にいく。できる限り店舗の中で粘って、閉店直前に最後のお客さんとして購入ができれば理想。ここでもレシートをもらっておくことがポイント。

 開店直後と閉店間際のレシートを比較する。レシートに載っている「レシート番号」を「閉店間際-開店直後」すれば、その日のレシート数が出るというわけだ。この手法はレシート番号がランダムになっている場合には使えないが、多くのケースにおいてレシート番号は一部通し番号になっている。この法則性を見抜くことができれば、その日の「レシート数=受注件数」がわかることになる。

 これをEコマースでも活かす。Eコマースの場合は「開店時間」「閉店時間」がないので、0時ちょうどになったらECサイトで商品を購入する、そしてそのほぼ24時間後、23時59分になったら再度ECサイトで注文をするのだ。このふたつの注文の「受注番号」を比較し、法則性と通し番号部分を見つけることができれば、その日の「受注件数」がわかる。

 そして「客単価」がわかれば、掛け算で日商・月商・年商の予測ができるようになるのだが・・

*「客単価」は売れ筋商品の価格帯に引っ張られる

 「客単価」の予測は「受注件数」のようにシンプルにはいかない。これはEコマース事業に携わったことがないとわからないことかもしれない。「客単価」はECサイトの売れ筋商品の価格帯に引っ張られるのである。これがもし「競合の売上」であれば同じ顧客層を対象にした「自社の客単価」を参考にすればいいのだが。

 「客単価=売れ筋商品の価格帯×1回の平均購入数×1.3」のような公式くらいで考えると良いかもしれない。これは全くの経験則なので全てのカテゴリやECサイトにあてはまるわけではないと思うし、言うなれば完全なるノウハウである。では、なぜ「客単価=売れ筋商品の価格帯×1回の平均購入数×1.3」になるか。

 Eコマースはサイトの特定の価格帯に受注が集中しやすい。販売している商品が満遍なく売れるということはほとんどなくて、サイトの規模が大きければ大きくなるほど売れ筋商品の価格帯に注文が集まる。お客様は「売れ筋商品のために」ECサイトにアクセスしているような感じになりやすいのだ。今回の課題になった企業だと、「1万円~1.5万円」の価格帯だ。この「売れ筋商品の価格帯」はECサイト内のランキングやショップ内検索を活用して予測を立てる。

 客単価が「売れ筋商品の価格帯」以下になることはまずない。突発的なセールをおこなった場合は下振れするが、売れ筋が売れ筋であり続ければ客単価は一定水準を保つ。問題は「売れ筋商品の価格帯」よりどれくらい上になるかなのだが、これは「1回の平均購入数」が関係する。お客様が1回の買い物で買い物かごに入れる商品点数の合計が1つなのか、それとも2つ3つなのかという話だ。

 ECサイトの場合、ほとんどのケースで1点~3点の間になる。スーパーで買い物をするときのように15点20点の商品を一度に買うことはあまりない。今回のような「売れ筋商品の価格帯」が1万円を超えるECサイトならば、お客様の決済のほとんどが「1点」になるのだ・・(次回)