著者:石田 麻琴

私が社長から教えてもらったこと。その3【no.1736】

 前職の社長のこと、3回目。前回のコラムを読んでからこちらを読んでもらえると嬉しいです。前職の社長から教えてもらったことはたくさんあるのだけど、ひとまず今回で一旦おしまいにします。

*徹底するポイントを探す。徹底してみてデータを取る

 「数字には必ず理由がある。そして、数字に効いている理由は同じではない」社長から教わったことだ。最初は「本当かよ」と抵抗感もあったのだが、(社長を怒らせると面倒なので)嫌々ながら素直に従ったところ、なんと翌週にはすぐに売上というカタチで成果が跳ね返ってきた。

 「これは成果に効いているのかもしれないぞ」と思い、他の仕事を必要最低限にし、徹底して同じ仕事を繰り返したところ翌々週にはさらに売上が上がった。この後、1ヵ月くらいだろうか、とにかくネットショップの売上はぐんぐんと上がり続けた。悔しいながら「社長の言ったとおりになった」と思ったものだ。社長は「ああ、売上伸びてきたね」程度の感じだったけども。

 「言ったとおりになっただろう」みたいなことを言わない人だった。その時は素直に受け入れられない自分の幼さがあったと懐かしく思う。

*数字の異変を探す。数字の異変にも必ず理由がある

 この「数字には必ず理由がある。そして、数字に効いている理由は同じではない」という社長の考え方は、それからネットショップのマーケティングを行う上でも、ECMJという会社を立ち上げて顧問先様の数字をみるときにも、何をするにも自分の考え方のベースになっている。習慣や癖みたいなものだ。数字の羅列、データの動きをみると「なんでこうなったんだろう。なにかあったのかもしれない」と疑問を持つようになった。

 あの出来事があってから、数字をより真剣にみるようになった。そしてその原因をなんとしても掴もうと、アプローチや導線を見直すようになった。最初にYahoo!JAPANからの強い導線を発見したのも毎日データを見ていたからだったし、ネットショップ担当者時代に絶対的に広告活用に自信があったのも広告の成果をすべてデータにして残しておいたからだ。

 私自身、才能がある人間ではないし、とんでもないヒラメキがある人間でもない。美術も音楽もクラスで最下位だったし、センスもない。それでも「数字をとって行動を整理する」こと積み重ねれば、大きな成果につなげられることがわかった。これもいまのECMJのコンサルティングの考え方の土台になっている。たまにすごく賢い方もいらっしゃるけども。

*自分にとっての師匠を見つける。師匠を徹底的に真似る

 前職の社長は自分にとって、いわば「マーケティングの師匠」であった。自分が働き始めた最初の会社でもあるし、自分にとっての唯一の上司でもあった。店舗運営、採用担当、システム構築、マーケティング統括、力仕事などなど、社内のありとあらゆる仕事を無茶振りでやらされたが、任せてもらえたから今の自分がある。そして、いま思えば、あそこまで任せるのはとても勇気がいるはずだった。それを当時まったくわかっていなかった自分が寂しい。親の気持ち子知らず、だろうか。

 自分にとっての師匠を見つけ、その師匠を徹底に真似、徹底的に奪うことが大切だと思う。人はいい部分も悪い部分もあるが、「わかっていない側」の若輩者が自分の判断で選別をしてはいけない。わけがわからないままでいい。ただ清濁併せ吞むことで徹底的に真似、徹底的に奪うことができる。私にはそんな人間がふたりいた。ひとりがECMJ初代取締役の岩佐豊氏、もうひとりが前職の社長である関口哲史氏だ。

 ふたりとも鬼籍に入ってしまったことが残念でならない。あとは自分で自分勝手に頑張れよ、というメッセージなのかもしれない。