著者:石田 麻琴

DX化投資の7割が「無駄打ち」に終わってしまう理由【no.1796】

 デジタルトランスフォーメーション、つまり「企業のデジタル化」について興味深い話をBPIAで伺ったのでメモの意味もこめてECMJコラムで書きたいと思う。

 ちなみにBPIAはビジネスプラットフォーム革新協議会の略称で、弊社ECマーケティング人財育成も加盟をさせてもらっているIT業界の団体。ECMJの石田はBPIAの常務理事を務めさせてもらっています。

*2018年のDX化予算は1.3億ドル

 ハーバードビジネスレビューによれば2018年の米国(アメリカ)企業のデジタルトランスフォーメーション予算合計は1.3億ドルだった。その1.3億ドルのうち、デジタルトランスフォーメーションが成果に繋がらず、無駄打ちに終わってしまった予算は9,000億ドルだった。ということだ。

 まず、このDX化の予算合計1.3億ドルという数字が高いのか低いのか、絶対値としては莫大な金額でも実際どうなのかは前年までのデータがないのでわからない。そしてひと言で「無駄打ちに終わってしまった」と言っても、その定義や見切りのタイミングがどこにあったのかは不明だし、長期的に考えれば「無駄打ち」でもひとつの肥やしになったとも言えなくもない。

 ただ、1.3億ドルに対しての9,000億ドルは約70%。この情報を考えるときに「約7割の投資が失敗に終わっている」という現実を認識することが重要になる。

*米国が取り組む「ハリウッド方式」

 これは初めて知ったのだが、米国の企業が新しいテーマに取り組む際、しばしば取り入れるのが「ハリウッド方式」という方法らしい。企業のデジタルトランスフォーメーションにおいても、「ハリウッド方式」が取り入れられることが多かったようだ。

 「ハリウッド方式」とはこうだ。デジタルトランスフォーメーションに取り組む際、社内に知見や経験がなかった場合、ノウハウを持っている人財をまず社外から登用し、陣頭指揮をとってもらう。DXが次のフェイズに移った場合、また新しいノウハウを持っている人財をアサインして陣頭指揮をとってもらう。「プランを描く」「システムを導入する」「運用改善をする」など各フェイズにスペシャリストを登用するイメージだろうか。

 ただ、ことデジタルトランスフォーメーションに関しては「ハリウッド方式」は折り合いが悪い。どうしても既存事業の組織とバッティングしてしまうからだ。DX化がビジネスにおける「いち部分」ではなく「全体」に関わる所以だと思う。これが「約7割の失敗」に繋がっているようだ。

*日本の場合、スペシャリスト自体が少ない

 日本の場合、企業がデジタルトランスフォーメーションに取り組もうにも知見や経験をもったスペシャリスト自体が少ない。マーケティング系、データ系のカンファレンスで講演されている方の顔ぶれを見ればその少なさがわかると思う。デジタルの理解が深い「CMO」的な人財が非常に少なく、企業としても半ば引っ張り合いのような状態になっている。当然、中堅・中小企業にはこの手の「CMO」人財は回ってこない。

 企業の経営者がDX関連の情報を聞きつける。ただ自分自身は(シニアの経営者の方が多いので)デジタルのことはよくわからない。マネジメントメンバーに「ウチのデジタルトランスフォーメーションはどうなっているんだ!?」となる。マネジメントメンバーや現場メンバーはどうすればいいかわからない。とりあえずトレンドのシステムやツールを導入すれば何とかなるのではないか、という流れになる。米国とは事情は少し異なるが、これによって「無駄打ち」になった予算は日本でも多いのではないだろうか。

 問題はデジタルトランスフォーメーションの「目的」を整理できていないことにある。システムやツールはあくまで「手段」でしかない。成功へのポイントは企業の内部の「取り組み方」にあるわけだ。こんな悩みを抱えられている会社さんはぜひECMJにご連絡を!