著者:石田 麻琴

マーケティングは「他人のふんどし」で相撲をとろう!【no.1797】

 あんまりおおぴっらに書くことではないかもしれないが、中小企業がマーケティングを展開するにあたって重要なことを書こうと思う。それは「他人のふんどしで相撲をとる」ということである。マーケティングはけっしてきれいにはいかない、かっこよくはいかない。時には泥臭く、「他人のふんどしで相撲をとる」ことも大切。これが2019年の最後のメッセージである(恥)

*初期のオリジン弁当はどうやって出店場所を決めたか

 もやは東証一部上場の大企業となったオリジン弁当【6513】ではあるが、事業初期の段階でどうやって出店場所を決めていったか。これはインターネットのさまざまなところで紹介されている有名な手段なのだが、「セブンイレブンのとなり」を選んで店舗を出店していったという。

 オリジン弁当にはマーケティングの予算がなかった。店舗の出店にあたって、本来であれば商圏や導線のマーケティング分析を細かくおこないたいところではあったが、お金がない。しかし、マーケティングをせずに出店場所を決めるのはギャンブルになる。そこで編み出したのが「セブンイレブンのとなり」を選んで店舗を出店するという方法だった。

 小売業の最大手のセブンアンドアイグループならば、きちんとマーケティング分析をおこなった上で出店場所を決めているはず。「セブンイレブンのとなり」であれば出店場所として問題がないはずだ、という発想である。もちろん戦略としては、セブンイレブン目当てで導線を動いているお客様に「お弁当だけはうちのも見ていってよ」という感じになるはずだ。

 素晴らしい「他人のふんどし」戦略。といっては失礼かもしれないが、とにかく賢い。

*「他人のふんどし」は中小企業も使えるか

 さあ、このような「他人のふんどし」を使って中小企業はどうやって事業を伸ばしていくか。これが大切になるのだが、ここで意識しておきたいのは「これって、自分たちよりも日々必死で考えている人がいるんじゃないか」という視点である。

 会議で何かを考える、アイデアが出ない、煮詰まる、それでもアイデアを絞り出す。そんな努力も大切だとは思うのだが、「アイデアが出ない→煮詰まる」の間くらいで、「これって、自分たちよりも日々必死で考えている人がいるんじゃないか」という、少し引いた目線の意見が出せる人がいればうれしい。

 特にこの発想が使えるのが、「販促企画」「サービス企画」をおこなっているときになる。自社の製品やサービスをどうやって売っていくか、販促キャンペーンやサービスの切り口のアイデアはどうしても詰まる。そして実は、これは「自分たちよりも日々必死で考えている人」が必ずいる。それは「雑誌」である。雑誌の編集者は「販促企画」「サービス企画」のようなものを日々必死で考えて仕事にしている。

 たとえば、自社が女性用のファッションをメイン事業をしているならば、「販促企画」「サービス企画」は自社のアイテムの対象になる女性が好んでいそうな雑誌を参考にすると良い。自分たちよりも当然「販促企画」「サービス企画」について考え込んでいるはずだ。キャンプ用品を販売しているならキャンプ雑誌は当然見ておきたい。

 しかも、雑誌というのは「ある一定数のお客様がいないと発行に踏み切れない」ギャンブル不可のものであり、企画としてとおっている時点で「ある一定のニーズが確実に期待できるもの」という予想がつく。これがインターネットだけの情報だと「ニーズはあるかわからないが、とりあえず出してみた」系のものも多いので、精査の必要が出てきてしまう。

 「これって、自分たちよりも日々必死で考えている人がいるんじゃないか」のアンテナを常に張りめぐらせ、「他人のふんどし」で相撲をとろう!