ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

コンサルタントが教える!EC成長の法則。31【no.1919】

(こちらは2021年公開のコラムです)

 前回コラム(no.1918)のつづきです。

 「コンサルタントが教える!EC成長の法則」というテーマで連載をしています。前回は、「外注パートナーの活用方法とポイント」についてご紹介しました。今回は「EC事業拡大の広告投資」についてお話します。

最終的な行先はインターネット広告の活用になる

 EC事業を成長させるために欠かせないのが広告の活用です。前提として売れ筋商品(ヒット商品、メガヒット商品)の把握。売れ筋商品のコンバージョンを最大限高めておくこと。検索対策やソーシャルメディアの活用など「頭をつかって汗水をながして」マーケティングを展開する習慣をつけておくこと。これらが大切ですが、最終的な行先は広告の活用になります。

 売れ筋商品があり、ある程度のコンバージョンが見込める状態をつくる。これができれば、商品やサービスを知っている人を増やすことが事業拡大のポイントになるからです。そして検索対策やSNS活用といった「知恵やアイデア」を使って拡散する方法ではなく、「お金をつかってお客様に知ってもらう」そして「利益をお客様に知ってもらうために再投資する」というビジネスのサイクルをつくっていくことが必要になるのです。

商品原価率が低い方が広告戦略に向いている

 広告投資をおこなうために理解しておきたいのがCPAとLTVの考え方です。CPAは「コスト・パー・アクイジション」のこと。日本語に訳すと、「成果の1件あたりの獲得コスト」です。100万円の広告投資に対して、1,000件の注文が取れたとすれば、CPAは100万円÷1,000件で「1,000円」と計算することができます。

 LTVは「ライフ・タイム・バリュー」で、日本語では「顧客生涯価値」と表されます。お客様が生涯で合計していくらオンラインショップにお金をつかってくれるのか。この想定値です。この「生涯で」というところがポイントです。EC事業の場合は「お客様がサービスから離れてしまったのか」がわかりません。1年2年オンラインショップを利用しなくても、思いついたかのようにポッと利用を再開するケースもあるのです。LTVは新規顧客の範囲をせばめ、特定のお客様がその後どう推移しているのかをみていきます。

 広告投資をおこなう際、CPAとLTVを頭に入れておきましょう。当然、CPAは低ければ低いほどEC事業にとっては良いことです。LTVは高ければ高いほどEC事業にとって良いことです。もしCPAとLTVの基準をつくるとするならば、それは販売している商品の原価率です。商品原価率が高いか低いかによって、許容されるCPAとLTVが変わってきます。もちろん商品原価率が低い方が、より広告戦略に向いているといえます。

ECだからネット広告と決めつけないこと

 もうひとつ。ここでは「広告投資」という言葉を使っています。この広告投資はインターネット広告だけを指すものではありません。新聞や雑誌、テレビやラジオなど既存メディアやイベントや展示会出展などによる販促も広告投資の中に含まれます。ECだからインターネット広告、と決めつけるのではなく、自社のユーザーに合った広告投資先を探していく。広い目線で集客戦略を考えていきましょう。

 ただし、必ず広告投資に対する効果を検証しなければいけないということです。広告は「=お金」ですから、利益の中から使っているのと一緒です。そういった点でいうと、インターネット広告は非常に効果検証がしやすいマーケティング方法だといえます。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。