ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

コンサルタントが教える!EC成長の法則。36【no.1924】

(こちらは2021年公開のコラムです)

 前回コラム(no.1923)のつづきです。

 「コンサルタントが教える!EC成長の法則」というテーマで連載をしています。前回は、「販促企画の考え方」についてご紹介しました。今回は「EC事業の専門店化」についてお話します。

特定のニーズへの訴求力を強める

 単一のショップが年商1億、5億、10億と成長していくこともありますが、多くの場合EC事業の成長の壁に当たってしまいます。ECサイトの規模が大きくなればなるほどマスなお客様の要望をかなえるためのオンラインショップに傾きます。絞ったお客様への訴求力が弱くなっていってしまうのです。マスなお客様の要望をかなえるオンラインショップ。そうなるとAmazonなど超大規模サイトと競合することにもなります。

 EC事業の成長の過程の中で検討したいのが、「EC事業の専門店化」です。つまり、現在運営しているオンラインショップから「一部のニーズ」を切り出して、そのニーズをかなえるためのオンラインショップを立ち上げ運用するのです。これによって特定のニーズを求めるお客様の訴求力をより強めます。オンラインショップとの関係性をより強いものにすることができるのです。

 単一のオンラインショップで年商5億円を目指すのか。専門店化をすることで年商1億円のオンラインショップを5店舗運営するのか。ご存じのとおり、ECは商圏のない世界です。日本中、世界中のユーザーが自社のオンラインショップのお客様になります。それと同時に日本中、世界中のオンラインショップが自社の競合になりえます。そう考えると年商1億円のショップを5店舗運営する方が基盤は安定するといえます。

専門店化のためのハードルはなにか

 この「ECの専門店化」にはいくつかのハードルがあります。ここで紹介していきます。

 ひとつは、いわゆる「店長」。オンラインショップの責任者の役割を誰が担うかです。5店舗の運営となると5人の店長が必要になります。5店舗各々が専門的な商品の領域を担うわけです。まったく異なったマーケティングが必要です。同一の店長が複数の店舗を持つことは現実的ではありません。最初にスタートしたショップのノウハウをいかに展開するかが成功のカギになります。

 次にオペレーションの問題です。管理するオンラインショップが5店舗になるとそれだけオペレーションの量が増えます。コンテンツの量も5倍になります。自社サイトやショッピングモールの出店をおこなう場合、全体で20以上のサイトを運営することになるのです。コンテンツ管理や在庫管理、物流管理、広告費の管理。広い目で事業をみることがポイントになります。

専門店化はある程度スクラップ&ビルド

 そして市場規模の問題です。オンラインショップを専門店化し、特定のお客様に絞ったオンラインショップを立ち上げ運用したとしても、そのニーズの市場規模は様々です。実際に運営をしてみると「そこまででもなかった」ということもあるでしょう。専門店化した5つのオンラインショップに同じように力を入れないことです。成長性を判断し、場合によっては早期の撤退もありかもしれません。専門店化はある程度「スクラップ&ビルド」です。継続ラインと撤退ラインを設定しながら対処していきましょう。

 「市場で勝てるか、どれくらいの規模に成長しそうか」は初速です。初速である程度判断することができます。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。