ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

SNS×ECの潮流をいかにつかむか。後編【no.1965】

 SNS×ECの潮流をいかにつかむか。後編(前編はこちらです

 企業のSNSの活用としてありがちなのが、「SNSを一方通行の情報発信ツール」にみていることです。従来のPRや広告のような「企業が発信し、お客様がそれを受け取るもの」という発想。これが大きな原因ではないかと考えられます。「企業が発信し、お客様がそれを受け取るもの」はあくまで機能の一部です。SNSのパワーを十分に活かせているとはいえないですよね。SNSは拡散されてこそ意味がある。

企業と個人でも、個人と個人の立場で運用する

 まずSNSとは双方向の場です。企業と個人でも、個人と個人と同じような立場で運用をしていかなければいけない。マーケティングツールである前にコミュニケーションツールであるわけです。そして、アカウントのフォロワーの後ろにたくさんのフォロワーがいること。フォローしている個人が、フォロワーに情報を伝えることで情報が広がっていきます。ここは「企業→個人」ではないですよね。

 これはそもそもSNSのアルゴリズム上でも言えることです。企業と個人の情報のやり取りは個人と個人の情報のやり取りに比べて希薄になりがちです。企業アカウントの情報発信はどうしてもタイムライン上で埋もれがちになります。この「表示されていない」と「埋もれがちになる」の違いがわかるかがネットのマーケティングで重要で、検索対策の原理と一緒です。「表示されていない」のではなくて「埋もれている」んですね。どこかには必ず存在している。

普段からSNSをつかっている人には到底かなわない

 システムのアルゴリズムから考えても、企業が個人に情報を伝えるより、個人から個人に情報を伝えてもらった方が「伝わりやすく」なおかつ「信用されやすい」わけです。企業のSNS運用はあくまでそこを意識していかなければいけないということなんですね。そして、難しいところがこのSNSの運用を社内の誰がどうやってやるか。ここは私の経験上だと「教えてできるもの」ではないと思います。というか、「普段からSNSをつかっている」人には到底かなわないのが現実です。

 ECMJの顧問先でもSNSとブランドを上手く紐づけるのが上手な会社さんがあります。それはプライベートでもSNSを触っていて「情報発信やコミュニケーションの勘所」をわかっている人が運用しているケースばかりです。プライベートで触っていないのに、仕事でSNSを頑張ろうというのはやっぱり厳しい。プライベートでSNSやっていない方が運用すると、「単なる商品やサービスの紹介」になりがちなんですよね。商品や販促の背景だったり、ストーリーや価値観、コンセプトを伝えたいものです。

ライブ動画の配信は作り込みページの要件を満たす

 あとはSNSの双方向性というところでポイントになるのは、ライブ動画でしょう。ここも大きなテーマです。これまでのECでは「商品ページの作り込み」が重要なポイントのひとつでした。しかしお客様と直接双方向のやり取りができるライブ動画の配信が、ある程度作り込みページの要件を満たしてしまっているという・・。ライブ動画でお客様がみたいものを見せた方が早かったりしますからね。その点でもコンテンツの制作が少し変わってくる気がします。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。