ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

EC事業の成長のためのキーポイント【no.2046】

 今回のテーマは「EC成長のためのキーポイント」です。

検索はお客様の「ニーズ」の言語化

 ECMJコラムではEコマースの集客は「3+1」であること。「ネット広告」「検索対策」「メディア」と「顧客リスト」だと紹介しています。

 ネット広告は費用がかかる手段であり初期段階のEコマースには向きません。メディアは無料で対策ができるものの他力本願な側面があります。顧客リストはすでにリアルでの認知やブランドがある事業者のみ活用ができます。そう考えるとEC集客でまずノウハウを身につけるのは検索対策です。

 検索対策というといわゆる「SEO対策」を思い浮かべる方が多いと思います。SEOとは「Search Engine Optimization」の略です。日本語にすると「検索エンジン最適化」となります。つまり、GoogleやYahoo!などの検索エンジンに好まれるWEBサイトをつくること。こういった意味合いが含まれています。

 ここでお話したい検索対策はSEO対策とは少し異なります。お客様が商品を探す「ニーズ」を言語化への対応、これが検索対策だと考えてください。SEO対策という言葉の向きは検索エンジンにあります。それに対して、検索対策という言葉の向きは「お客様のニーズ」にあると考えてください。

検索対策のふたつの方法

 EC事業の日々運用をおこなう中で、「自社の商品を利用するお客様は、自身のニーズをどのような言語で表現するか」を常に気にして、施策をおこなうことになります。これこそが検索対策です。

 多くのEC事業者は、商品名・ブランド名をお客様に知られていることはありません。「自社の商品やサービス、ブランド、会社のことは知らない。しかし自社の商品やサービス、ブランド、会社が解決できる課題をもったお客様」にアプローチしなければいけないわけです。

 検索対策には大まかにふたつの方法があります。ひとつはすでに発信しているページ、ネットショップの「商品ページ」をよりお客様に知ってもらう対策。もうひとつは発信するページ、ネットショップの「商品ページ」の数をそもそも増やすことによって自社を知ってもらう対策。このふたつです。前者は網の目を細かくする対策。そして後者は網自体を大きくする対策だと考えてください。

ニーズの「どこに寄せるか」

 まず前者ですが、ポイントはお客様のニーズの「どこに寄せるか」にあります。ECのシステムでは強い検索対象になるキーワード入力部分が限られています。そしてその中で検索対策のやり繰りをしなくてはいけません。広い層を取る検索対策よりも、コンバージョンを重視した検索対策が賢い選択です。より絞ったお客様のニーズを考えてみてください。

 後者は、ネットショップの場合は商品ページとお伝えしました。しかし、コンテンツマーケティングとして情報を増やして網を広げる方法もあります。これは特にEコマースで取り扱う商品数が限られている場合に有効です。自社のスタイルにより商品ページ・情報コンテンツのどちらを増やすか考えてください。

ECを成長させるため「3つを増やす」

 ECを成長させるためには詰まるところ「3つを増やす」しかありません。

 ひとつ目は「商品」です。商品を増やすことがEコマース事業を成長させることにつながります。商品を増やすことは「いまのお客様にもっと楽しんでもらう仕事」と「新しいお客様に存在を知ってもらう仕事」の両方を兼ねています。さらに商品は売り物です。ヒット商品が登場すれば当然直接的に売上に寄与していきます。

 1,000商品、10,000商品というような商品の増やし方ができないネットショップでも、シーズン毎に新商品を出さなくてはお客様も飽きてしまうでしょう。たえず新商品の企画や新しい商材の開拓をおこないましょう。

情報を増やすは様々使える

 ふたつ目は「情報」です。情報を増やすことでお客様によりネットショップに興味をもってもらうことができます。そしてサイトの情報を増やすことで、ニーズに適応した検索流入を狙うことができます。商品数が少ないネットショップでは商品を増やすことが難しいはずです。しかし商品の利用や実例についての情報(=コンテンツ)は増やすことができます。

 この情報を増やすという考え方。物販だけではなくネットを使って集客するサービスでも活用することができます。たとえば弁護士事務所。弁護士さんの役割として提供するサービスはある程度一定です。様々なお客様のニーズや疑問、ケースに合わせた情報コンテンツを増やすことで、お客様が安心して問い合わせができる状態になるわけです。

広告活用ができるように内部改善する

 最後は「広告」です。広告の活用についてもこのシリーズで何度か触れてきました。安易な広告活用はやめよう、といった趣旨のコラムが多かったかもしれません。しかし、Eコマース事業を成長させるために広告の活用は必要不可欠です。むしろ、広告活用をしても収益性が落ちないようにショップの内部を改善する。これがEコマース運営の作法です。売れ筋商品が見つかり、提案レベルが上がったら、どんどん広告をかけていきましょう。もちろん広告効率の計算と分析をおこない、継続して改善を重ねていくのが条件です。

 このようにEC事業を成長させるためには、「商品を増やす」「情報を増やす」「広告を増やす」の3つしかありません。自社のEC事業ではいま何を増やすべきかを考えながら運営を進めていってください。

まずはパソコン自体を見直す

 Eコマースの仕事は多岐にわたります。売上をつくるフロントヤードの仕事として「商品企画/商材開拓」「WEB制作」「集客」「運営」、注文を管理する仕事として「システム/データベース管理」「物流」「カスタマーサポート」、売上規模が小さいフェイズでは数名でこれらの業務に取り組んでいくことになります。いかに業務効率、運営効率を上げていくかがEコマース事業の成長のポイントです。

 業務効率、運営効率を上げるために最初に見直したいのがパソコンについてです。これはパソコン自体とパソコンの使い方のふたつに分けられます。EC運営はほとんどのケースでパソコンを使って仕事をしています。パソコンの性能が低すぎたりスペックが古かったりすると業務効率が下がります。

 またモニターを2台使うデュアルにすることで運営効率は大幅にアップします。WEB制作業務やシステム/データベース管理の仕事は効率が格段にアップしそうです。私は運営者時代、2台のパソコンを使いモニターを並べて仕事していました。片方のパソコンでシステムを動かしつつ、もう片方で運営業務をおこなっていました。

パソコンのリテラシーを上げる

 もうひとつがパソコンの使い方です。システム管理画面や競合サイトをブックマーク(お気に入り)しているでしょうか。またキーボードのショートカットキーはある程度使えるようになっているでしょうか。ファイルの共有はクラウド上でおこなっているでしょうか。細かい報告や共有をおこなうためにビジネスチャットは導入しているでしょうか。このあたりを使えているか否かでも業務効率、運営効率は変わります。

 またルーチン業務の仕組み化、テンプレート化を随時進めていくことが大切です。ルーチン業務はタイミングがないと毎度同じことをおこなってしまうものです。仕組み化・テンプレート化をする「時間」を設定すると良いと思います。隔週1回、月1回など設定しておき、改善をその時間におこなってしまうのです。クラウド上のファイルの整備や、デスクトップの整理整頓なども含まれます。

仕事の仕方の見直しが大切

 もちろんEコマース事業が拡大してくれば受注管理システムや顧客管理システム(CRM/SFA)、在庫管理システムの導入といった方向に話が向きます。ツールやシステムを導入する前にまず仕事の仕方を見直してみてください。パソコンの使い方や時間の使い方でカバーできる部分が必ずあるはずです。まずは知恵を絞って、業務効率・運営効率を上げる「クセ(=習慣)」をつけましょう。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。