ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

スモールスタートの意味を理解できていないと、ネットは「失敗」します。【no.1184】

 「スモールスタート」の意味を理解できていないと、ネットは「失敗」します。

Eコマースは小さく始めて大きく育てる

 Eコマースはスモールスタート。施策をデータで分析して、日々の改善活動を重ねながら大きく育てていくものです。もちろん、時間をかけて地道に成長させていくことだけが善ではありません。ときには広告費をかけて、一気の拡大を狙うことも必要です。でも、あくまで始まりはスモールスタートが肝心です。

 実店舗などリアルビジネスを展開している会社さんがインターネットに参入するケース。この「スモールスタート」の理屈がいまいち理解しきれていないことがあります。もしかしたら「スモールスタート=たった10坪の実店舗」と考えているかもしれません。

 確かに、たった10坪の実店舗ではその売上規模は限られます。店舗の中に陳列することができる商品の数が決まります。店舗の中に同時に入ることができるお客様の数が決まります。一日に来店するお客様の数、接客することができるお客様の数も決まります。レジの対応ができるお客様の数も決まります。そして、31倍すれば月商が決まり、12倍すれば年商が決まります。

 年商10億円を目指すなら、10坪ではなく最初から300坪の店舗をつくらなければいけない。実店舗経営のイメージだとそうかもしれません。しかし、Eコマースの場合は異なります。小規模店舗で年商10億円を売り上げることもあれば、大規模店舗でも年商1億円に満たない場合もあります。そもそも300坪という広さの概念自体がネットにはありません。

ネットショップ運営は走りながら仕組みをつくる

 ネットショップの開店当初から、たくさんの商品を用意しなくても問題ありません。商品ページの内容が不十分でも問題ありません。カテゴリ分けが上手くできてなくても問題ありません。商品画像が一枚だけしかなくても問題ありません。バックヤードのシステムはエクセル管理で大丈夫です。梱包材も自社ブランドの段ボールを用意しなくて構いません。

 理想をいえば「最初から準備できるものはしておく」ことかもしれません。しかし、ネットショップ運営を回して走りながら検討をした方が、よりお客様の共感を得られる仕組みをつくることができます。そしてネットショップ運営から抽出されるデータが、改善の後押しをしてくれます。だからEコマースはスモールスタートで良いのです。最初から大きくスタートを切ろうとすると、経費が嵩みます。進捗も遅くなります。「お客様が求めているもの」ではないところにリソースを割いてしまう可能性もあります。

 Eコマースには10坪も300坪もありません。また、大きなショップだから小さなショップだからといって、売上の上限が決まっているわけではありません。ネットショップは実店舗とは異なります。お客様が何人でも同時に来店(アクセス)することができます。同時に商品を購入することができます。ネットショップ上では商品を無限に提案することができます。「敷地面積=売上」にはならないのです。

Eコマースの売上の違いは実は「認知」だけ

 そう考えると、小さなネットショップと大きなネットショップの違い、月商100万円のネットショップと月商1億円のネットショップの違いは、「どれくらいのお客様がアクセスしているか」の違い以外ないのです。どれくらい認知があるかが、ネットショップの売上規模の違いということになります。

 商品の改善、提案の改善は売上規模に関わらず同じです。スモールスタートのネットショップでも、単純にネットショップのアクセスが増えていけば、大きなネットショップになるのです。だから、スモールスタートのEコマースだから「年商10億円にならない」なんてことはありません。むしろスモールスタートで始めないことのリスクが大きいのです。

 「スモールスタート」の意味を理解できていないと、ネットは必ず「失敗」します。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。