著者:石田 麻琴

商品を「市場に合わせる」ことで商品力を最大化する【no.1946】

 商品を「市場に合わせる」ことで商品力を最大化する。

 ECをより早く、より大きな成功に導けるかどうかに強くかかわっているのは商品力であることはいうまでもありません。

商品を「市場で『売れる』」状態にする

 自社オリジナル商品なのかそれとも仕入れの商品なのか。仕入れの商品であれば、いかに提案力に差をつけて差別化を図っていくか。自社オリジナル商品ならば、いかにその価値をお客様に知ってもらうか、どう伝えるか。同時に商品を「市場で『売れる』状態にする」のも非常に重要な視点だと感じます。

 もちろん「市場で『売れる』状態にする」とは、在庫を揃えておくみたいな「物理的に」売れる状態にすることではありません。「お客様が探しやすい、買いやすい、好まれやすい」状態にしておくということです。たとえ自社オリジナル商品で本質的な商品力は高く、差別性も強かったとしても、お客様が探しづらい、買いづらい、好まれづらい状態だと、その商品力を最大限に活かすことができないんですね。

 このポイントになるのが、商品の「自由度」です。「自由度」が高いほど「市場で『売れる』状態」にする仕掛けをすることができます。もう少しカッコよくいえば、「商品を『市場に合わせる』」ことができるですね。多くのEC事業者が市場に商品を合わせられていない状態にあるのが現実ではあります。

商品の「自由度」とは何か

 ではこの商品の「自由度」というものは何か。ひとつは「商品原価率」、裏返すと「利益率」でしょう。他の要素のひとつとしてあげられるのが「パッケージングの自由度」なんですね。たとえば、仕入れたコーヒー豆をそのまま販売すれば商品の「自由度」は低いまま。もしもコーヒー豆のパッケージを空けてしまえば商品の「自由度」は一気に上がります。

 ECの世界では「新規顧客獲得」「集客玉・広告玉」のための商品企画があります。たとえばそれは「お試し1,000円送料無料」みたいな見せ方だったりしますよね。これが「お試し1,280円送料無料」だとお客様に与えるインパクトはあまりない。「お試し1,000円送料無料」の方がわかりやすいし反応も良い。ただ、多くのEC事業者の方が「お試し1,280円送料無料」の売り方をしてしまっています。前述した、「商品を『市場を合わせる』」ことができていない。

商品を「市場に合わせる」ECを「市場に合わせる」

 パッケージングされたコーヒー豆を空けてしまえば、「お試し1,000円送料無料」を実現することができるんですね。なぜなら「お試し1,000円送料無料」の商品原価に合わせた内容量にすればいいから。単純に内容量を22%減させれば1,280円のときと同じ利益率が保てるはずです。商品の「自由度」がないと、値上がりした場合は価格を動かさなければいけません。「自由度」があれば、内容量を変化させることで「商品価格」を変更しないで済みます。

 こういったこと、ECのビジネスの中にも多々あることじゃないかと思うんですね。「商品を『市場に合わせる』」「ECを『市場に合わせる』」ためにはどうすればいいか。自分たちがやっている仕事が「当然のこと」と思い込んでいく中で、一歩引いて定期的に自社のECを客観視する時間をつくっても良いかもしれません。

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