著者:石田 麻琴

コンサルタントが教える!Eコマース成長の法則。33【no.1921】

 前回コラム(no.1920)のつづきです。

 「コンサルタントが教える!Eコマース成長の法則」というテーマで連載をしています。前回は、「市場環境への対応と競合対策」についてご紹介しました。今回は「顧客軸のマーケティングの展開」についてお話します。

 前回のコラムではEコマースの市場環境の変化をいかにつかみ対策・対応を考えていくか、競合の動きをいかにキャッチして対策・対応につなげていくか、について説明をしました。Eコマースの運営はフロントヤードもバックヤードも「自社内をいかに改善するか」に偏りがちです。Eコマースの定例会議では必ず市場環境の変化や競合の動きを確認する時間をもうけてください。この「定期的に確認する時間を先につくっておく」というのがポイントです。

 さて、今回は「顧客軸のマーケティングの展開」です。マーケティングのツール・システムとしてのCRMやSFAという言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。またAIやMA(マーケティングオートメーション)のようなシステムもベースになっているのは「顧客軸のマーケティング」の考え方です。「顧客軸のマーケティングの展開」については、まずその概念から説明したいと思います。

 デジタル、インターネットの登場と進化によって実現可能になったのが「顧客軸のマーケティング」です。そしてその「顧客軸のマーケティング」を実現することができる最たるものが、我々が日々取り組んでいる「Eコマース」だとも言えます。デジタルやインターネットのない従来のマーケティングでは「顧客軸のマーケティング」は実現が不可能でした。

 たとえばコンビニエンスストアを想像してみてください。私たちがコンビニで商品を購入するとき、コンビニ側が私たちを「新規顧客かリピーターか」を判断する方法がありません。厳密にいえば「ありませんでした」ですが、従来はなかったわけです。コンビニで働いたことがある方ならご存じのとおり、コンビニではレジのエンターボタンが「年齢の区分け」になっており、コンビニの店員さんが「この方は20代の女性かな??」と想像して、「20代女性」のボタンを押していたのです。

 コンビニで「お客様」についての情報が残るのは「20代女性」ぐらいで、他の情報としては「何を購入したか」というEコマースでいう「受注(注文)データ」しか残りません。ですから、「今回コンビニで購入したお客様が新規顧客なのかリピーターなのか」「リピーターであれば何度目の来店なのか」「前回購入した商品は何だったのか」などのマーケティング分析については完全にブラックボックスであり、創造の域を出ませんでした。

 ・・なので、従来のマーケティングは、売れた商品を分析して、売れ筋商品の露出をさらに強めたり、データをもとにした新商品を開発したりという「商品軸のマーケティング」だったわけです。ただ、ECMJコラムを読んでくれている方はおわかりのとおり、「今回コンビニで購入したお客様が新規顧客なのかリピーターなのか」「リピーターであれば何度目の来店なのか」「前回購入した商品は何だったのか」これらはEコマースのマーケティングではすべてデータでわかってしまうことなんですよね。デジタルとインターネットが生んだマーケティングの転換です。

 「顧客軸のマーケティング」が重要になる理由には時代背景も考えられます。日本の高度経済成長期、人口が増える時期は終わり、大量生産大量消費の時代はとうに終わっています。また情報社会の到来によりお客様の価値観やニーズが多様化しており、広くお客様を増やすよりも、お客様を深く保つ方にマーケティングがシフトしています。SNSの登場も影響が大きく、深いお客様をもつほどインターネット上での発信力も強くなっています。

 まずは「顧客軸のマーケティング」の概念を頭に入れておいてください。